書類に判子を押す

法人名義の外車を売却する際の注意点

法人名義での売却に必要な書類を整理する

法人名義の外車を売却する際には、個人所有とは異なる書類の準備が求められます。手続きが複雑になる印象がありますが、必要な書類をひとつずつ確認しておけば、それほど難しいことではありません。

基本となるのは、車検証(自動車検査証)、法人印が押印された委任状、譲渡証明書、印鑑証明書の4点です。これらは名義変更に必要な法的書類で、すべて正確にそろっていないと手続きが進みません。さらに、法人の場合は登記事項証明書(登記簿謄本)の提出が必要になるケースが多く、これは法務局で取得できます。3か月以内の発行であることが原則なので、あらかじめ取得時期に注意が必要です。

印鑑証明書は、法人の実印が登録されている市区町村で発行されるもので、こちらも3か月以内のものを用意します。業者によっては、書類のひな形や記入例を用意してくれることもあるので、事前に確認しておくとスムーズです。また、法人車両の場合、担当者が代表者と異なることも多いため、委任状の記載内容には十分注意しましょう。記載ミスがあると、再提出となるケースもあるため丁寧に確認したいところです。

名義変更と手続きの流れを把握しておく

法人名義の外車を売却する際、名義変更は必須となる重要な手続きです。名義変更とは、所有者を法人から新たな買い手(もしくは業者)に変更する処理であり、書類の正確さとタイミングが問われます。

通常は買取業者が名義変更を代行してくれますが、法人名義の場合は「誰が法人を代表して売却に関わるか」を明確にする必要があります。登記簿上の代表者が直接手続きを行う場合は問題ありませんが、経理担当者や管理部門のスタッフが対応する場合は、必ず委任状を準備しておきます。

また、売却によって法人の資産が減少する形になるため、帳簿上の処理も必要になります。特に車両がリース車ではなく、購入して資産計上されている場合には、「固定資産除却」や「売却益(または損)」として会計処理する必要があります。売却価格が帳簿価格(簿価)より高い場合は利益として計上され、逆に安く売却した場合は損失となります。こうした処理に備えて、売却前に経理担当と相談しておくと安心です。

外車の場合、買取業者によっては法人車両の取り扱いに慣れていないこともあります。スムーズに進めるためには、法人車両の売却実績がある業者を選ぶのが賢明です。過去の取引件数や対応スピードを事前に確認し、安心して任せられる相手を見極めたいところです。

節税メリットと見落としやすい注意点

法人名義で車を売却することは、うまく進めれば節税にもつながる可能性があります。たとえば、売却によって得た資金を次の車両購入にあてる「買い替え特例」を活用すれば、譲渡益に対する課税を繰り延べることが可能です。中小企業では、減価償却が済んだ車両を売却して資金化することは、キャッシュフローの面でも有効です。

ただし、節税を目的とする場合は、帳簿上の車両価格や償却状況をしっかりと把握しておく必要があります。売却額が簿価よりも大きく乖離していると、税務上の評価に影響することがあります。また、社用車としての使用実績が少ない場合などには、資産の使用実態について説明を求められることもあるため注意が必要です。

もうひとつの見落としがちなポイントは、車両に法人のロゴや装飾が残っているケースです。社名入りのステッカーや塗装などがそのままでは、買取業者が再販しづらく、査定額に影響することもあります。売却前にこれらを剥がしたり塗装を戻したりすることで、査定評価が向上する可能性もあるのです。

最後に、売却金額の受け取り方法にも注意が必要です。法人名義の口座に直接振り込まれる形になるため、代表者や経理担当者との連携を密にしておく必要があります。個人口座での受け取りは原則NGとされるため、社内手続きも含めた準備をしておきましょう。しっかりと手順を押さえておけば、法人名義の車でもスムーズに、そして損をせずに売却が可能になります。